歯周病

歯周病とは、口腔内の細菌(原因菌)が出す毒素によって引き起こされる感染症です。歯周病は、歯肉や歯槽骨・歯根膜などの歯周組織を破壊していく病気です。
以前歯周病は成人病とされていましたが、近年では生活習慣病として認定され、若年層でも歯周病を発症する人が増加しています。
 しかし、自覚症状が少ないため、本人が気づく頃にはかなり重症になっているケースが多い危険な疾患です。また、歯周病により一度でも溶かされてしまった歯槽骨を元通りにすることは現在の最先端技術を用いたとしても非常に難しく、ある程度進行してしまった歯周病に対しては、成すすべがないというのが今の歯科医療の現実です。

 

歯肉炎は、歯肉が炎症をひき起こして腫れあがってしまう病気です。
歯周炎の一歩手前の病気で、強く押すと出血や膿が出たりします。
健康的な歯肉は薄いピンク色ですが、歯肉炎になると黄色っぽくなります。

歯周炎は、歯を支えているアゴの骨を吸収(溶かして)してしまう病気です。
歯の土台の役割をしていますので、その土台が失われてしまうと歯がグラグラするようになったり、最悪の場合は歯が抜けてしまいます。

これほど破壊力がある恐ろしい病気であるにも関わらず、痛みをほとんど感じないという落とし穴があり、気づいた時には症状が重くなっている方が多くいらっしゃいます。
そのため歯周病の重い症状である歯周炎にかかっている割合は、15~24歳の段階で既に20パーセント、55~64歳に至っては50パーセント近くにもなります。
(H17年度の歯科疾患実態調査より) 実は、歯周病は幅広い世代でかかる大衆病なのです。

歯周病のもっとも代表的な原因としてあげられるのが、プラークです。
プラークとは磨き残しによる細菌の塊からできた歯垢です。
プラークは歯と歯茎の間にできやすく停滞する時間が長い程、細菌は増殖します。
細菌が増殖すれば毒素の量も増えるため歯肉や歯槽骨に炎症を引き起こし、
歯周病を進行させていきます。

 

歯並びが悪い場合、丁寧に歯磨きをしているつもりでも、磨き残しが多く、歯周病リスクが高まります。

 

歯ぎしりは、歯にとても負担をかけるため、歯と歯茎の境目が緩みそこにプラークがたまりやすくなるため歯周病を進行させやすくなってしまいます。

 

噛み合わせが悪いと全体のバランスが悪くなり、一か所の歯に力が加わり歯を支えている歯槽骨にとても負担がかかり、歯周病を悪化させやすくなります。

 

不規則、不摂生な生活やたばこ・糖尿病などの生活習慣病による免疫力低下により歯周病を進行させます。

 

口で呼吸をすると口の中が乾燥し最近が繁殖しやすくなり炎症を起こしやすくなります。

 

歯周病の進行を歯周ポケット(歯と歯肉の境の溝)の深さによって説明します。
※健康な歯肉でも1~2mmの歯肉の溝があります。
 下記の表は炎症を起こしている歯肉を示します。

歯周病は、根本的な問題から解決する必要があり、お一人お一人の症状にあった治療が大切です。

そのため当院ではカウンセリングや検査をしっかり行い、患者様にも丁寧なご説明を行いながら治療を進めることを心がけております。

歯周病の原因である歯垢(プラーク)・歯石を除去し、再び歯や歯の周りに付着するのを防いで歯周病の進行を抑え、予防しようという治療法です。

 

スケーリング
取り除けていない歯垢(プラーク)、歯石をスケーラーと呼ばれている特殊な器具を使って除去する治療法です。

 

ルートプレーニング
歯肉(歯茎)や歯周ポケットに隠れたスケーリングだけでは除去できない歯石・歯垢を特殊器具を使用して除去し、再び歯石・歯垢が付着しづらいように歯の表面をツルツルにする治療法です。

 

詰め物、被せ物の不適合があれば歯垢(プラーク)が付着しやすく、歯磨きで除去する事が難しくなるため、詰め物、被せ物が合っているかをチェックし、これらが合っていなければ修正する治療が行われます。

 

歯周病は歯垢(プラーク)感染する病気なので、薬(抗生物質)を服用したり、直接、歯垢(プラーク)が溜まっている歯周ポケット内に挿入して増殖した細菌を減少させていく治療も行われます。

 

噛み合わせが悪かったりして一部の歯に負担がかかっている場合、その歯(歯槽骨)が破壊され、歯を失う原因となりますので、噛みあわせを調整する治療が行われます。

中度、または重度歯周病などの場合は、上記の治療法では症状が改善されない場合があり、

そのような場合には以下の外科的歯周病手術を行うことがあります。

歯周ポケットが深いために『歯石/歯垢(プラーク)』を完全に除去できないような場合に、歯周ポケット自体を切除した後、歯肉を歯槽骨から剥がし、歯と歯肉の間に溜まっていた歯石・歯垢を除去(スケーリング&ルートプレーニング)し、その後に歯肉を元の位置に戻して縫合する手術法です。

歯周病は、口腔内環境だけの問題と思っている方は多いと思います。しかし、ここ10年ほどの研究で、歯周病というのは全身とも密接な関係を持っていることが分かっています。
 歯周病は細菌が毒素を出して歯ぐきや顎の骨を破壊していく病気ですが、炎症を起こした歯肉の毛細血管を通って、細菌が全身に回っていくことがあるのです。現在、歯周病と関係があると言われている全身疾患は主に以下のようなものが上げられます。

 

心疾患・糖尿病・呼吸器疾患・骨粗しょう症・肺炎(誤嚥性肺炎)・未熟児出産・早産

 

歯周病菌が炎症した歯肉の毛細血管に入り込み心臓などの臓器に感染します。心臓の弁膜や 内膜に発症する「細菌性心内膜炎」の原因のほとんどが、口腔内の細菌によるものです。さ らに、冠動脈に感染すると原因菌が炎症性物質や毒素を生産し、血栓をつくり、動脈硬化を 進行させる可能性があると言われています。

 

歯周病と糖尿病は、お互いに悪い影響を与え合い合併症を引き起こすことが分かっています。糖尿病の人の場合、体の免疫機能が低下しているため、健康な人に比べると歯茎に炎症が起こりやすく、細菌が血管に侵入し全身に廻りやすい状態になり、歯周病の進行を早めてしまう危険性があります。また歯周病の人の場合、細菌が血管へ侵入すると、血糖値をコントロールするインスリンという働きを阻害し、血糖コントロールが正常に機能しないことがあります。そのため歯周病は糖尿病を引き起こす原因の1つと考えられています。

 

歯周病の方は、未熟児出産・早産のリスクが高まると言われております。女性は妊娠するエストロゲンという女性ホルモンが多く分泌されます。細菌はこのエストロゲンを栄養にして体内で増殖し、病状を進行させていくのです。そのため、歯周病の方が妊娠すると、健康な人に比べ未熟児出産や早産の確率が高まるという報告があります。

 

誤嚥性肺炎とは、食道を通るはずだった食べ物などの口腔内物質が、誤って気管に入ってしまい歯周病菌が肺や気管支に感染して発症する肺炎です。高齢者や寝たきりの方に多く見られる全身疾患です。肺炎とお口の中の衛生状態は深く関わりあってると言われています。お口の中を清潔に保っておくことで、発症の危険性を低くすることにつながります。

歯周病は正しい予防をしっかり行えば未然に防ぐことが出来ます。そのためご自分の歯を一生涯残していくためはに、歯周病になる前に歯科医院でケアをし、予防する習慣をつけることが歯の健康を保つ一番の方法です。
また、一度歯周病になってしまった方は再度歯周病になってしまう傾向があり、治療が終わったからといって安心せず、再発防止のためにも定期的なメンテナンスを行いましょう。効果的な歯周病予防として、マリン歯科では以下の予防法をしています。

スケーリングとは、スケーラーという器具を使用し、歯科衛生士によって丁寧に歯石を
取り除いていく治療です。普段の歯磨きだけでは、歯石を完全に取り除くことは難しく、
定期的に歯科医院でスケーリングを行うことは歯周病予防に高い効果があります。

 

フッ素には、細菌の働きを抑える効果や歯垢が付きにくくするなどの効果があります。
そのためフッ素塗布は、歯周病に強い歯へ導きます。

P.M.T.Cとは、普段の歯磨きでの磨き残しを確認し、その後専用の器具を使用し歯の表面や歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)の歯の根まで、キレイに磨き上げていきます。また、心地よいと感じる範囲の刺激で治療を行いますのでリラックスして治療を受けていただけます。

ペリオコースとは、P—MAXという特殊な機会で歯ブラシでは届かない歯肉の中をP・ペリオ水を使用して洗浄します。その後、アスコルビン酸で中和して、抗生物質の薬を歯肉の中に入れます。P・ペリオ水を使って歯周病向けのケアを行っています。

ペリオコース

(40分~60分)

歯数 28~14本 ¥5000
    13本以下 ¥3000

毎日ご自宅で行える歯磨きは、歯周病予防ではとても重要です。しかし、正しいブラッシング法を身に付けていなければ毎日歯磨きを行っていても、磨き癖などでプラーク(歯垢)が残ってしまい歯周病の原因になってしまいます。そのため、マリン歯科では生活習慣の見直しや食育を含めた独自のブラッシングプログラムを行っております。